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納屋の改装も順調に進行中ですよ

さて、世界旅行編も書き進めていますが、その間にも納屋の改装は順調に(?)進行中です。サボっていないよということを証明するために最近の働きっぷりの一部をご紹介。

これまでにやったこと

  • 家屋の測量
  • 二階に収められた大量のモノを一階へ運搬or解体
使えるものは再利用。その他はお友達の家で使う薪になりました。全部でこれの10倍近いかな。
  • 大量のモノの焼却orゴミ袋に入れる
鬼の断捨離クイーン
  • 将来の間取りの検討
  • 将来不要になる土壁の除去
  • 一部屋分の床板の除去、土間の露出

床板を取り除いた様子

 

床下から地下階段が出現!
  • 天窓の発注
  • 足場用の単管パイプの搬入

 

これからやるべきこと

  • ゴミを捨てる
  • 足場を組む
  • 瓦と土を屋根から下ろす
  • 屋根に天窓をつける
  • 屋根をコロニアルでふき直す
  • 外壁のトタンを取り外す
  • 外壁を張り直す
  • 足場を解体する
  • 必要に応じて柱を追加する
  • コンクリをキッチンスペースに打つ
  • 床を張り直す
  • 内壁を漆喰で塗り直す
  • 厨房施設を購入、搬入
  • 電気、ガス、水道の敷設
  • 家具、調度品の調達、搬入

簡単に羅列してこれぐらいあります。細かく書けばこのリストはあと3倍ぐらいに伸びそうです。改めてみるとこれはなかなか大変なものに着手してしまったなというのが正直な感想ですね。この長いリストがコンプリートできた暁にはちょっとした家ぐらいなら鼻歌交じりに建てられるようになるような気がします。でも生活を一から自分の手で作るというのはそういうことですよね。昔のお百姓さんは百個もの仕事を掛け持ちしていたと聞きますし。あらゆる業界であまりに専業化が進んでしまっている昨今ですが、この島でそんなぬるいことは言っていられないようです。でも各々が単純な職業で語られずに色んな顔を持っている方が繋がりも多層化するので、けっこう面白いですよ。まぁこういう話はまた今度に。

ともあれ、この島にいると助けてくれる人や便利な道具がすぐに見つかるので、不思議となんとかなりそうな気がしてくるのです。なんせ廃屋を図書館に変えた人達がいるのだから、心強い限りですね。

ともあれ今月の目標はゴミを(ほとんど)全部捨てることと、屋根をふき直すことです。両方気が重いですね。こういう作業は着手してからしばらくはひたすら肉体労働ばかりであんまりクリエイティビティ(私達にそれが溢れていると仮定して)を発揮できる場面がないのが辛いところです。とほほ。

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夫婦で世界旅行 イタリア編

先日のポストで夫婦で行っていた世界旅行について簡単に触れました。今日はその本編といういうことで、具体的にどんなことをしてきたのか、何を見てきたのか、誰に会ってきたのかみたいな話をしたいと思います。ただ、紀行文みたいなものをあんまりダラダラ書いても仕方ないので、項目を立ててサクサク進める形で書いてみます。

世界旅行のテーマ

私達は出発前にいくつかのテーマというか関心事を確認しあいました。何事もそうですが、読書でも絵画鑑賞でもそういう設定をしておくのとしておかないのとでは体験の質に大きな違いがあると私は考えています。

今回設定したテーマは簡単に言うと、

「世界の美味しいものとそれを作る人に出会う」

というものでした。さらに言うと、その出会いを通して自分達が近い将来オープンする店のヒント集めというサブテーマもありました。

ですので、世界旅行とはいえ、コテコテの観光地とかにはあんまり行っていないので、世界旅行の話が全然参考にならない人も大勢いるかと思いますが、ごめんなさい。

イタリア

今回訪れたのはこの6箇所。もちろんもっと行きたい場所(パルマとか)は色々ありましたが、まぁそれは仕方ありませんね。

ミラノ

ファッションとビジネスの中心都市(とのこと)。確かにオシャレにキメた若い男女が多いような気がする街です。交通の便も整っているので、どこでも気になったところへアクセスしやすいというのは結構良いポイントかも。

●観光:ドゥオモとそこから伸びるトリノ通り。東京で言うと、明治神宮と渋谷のような感じかしら。

●治安:全く問題なし。

夜中の2時に壊れたスーツケースを引っ張って郊外を歩いていても、助けてくれる人はいるけど、怖い人には出会わない。

●行くべき店:Pave

お婆ちゃんの家をイメージしたという店内は、老若男女で賑わうけど、とってもcozyな感じ。焼き菓子も定番モノからオリジナルまで幅広くハズレなし。店員の対応もとっても愛想が良くて、お客さん同士の会話も弾む。一人で長時間居ても大丈夫な感じで、シャツやバッグなどのグッズも充実。

もうちょっと良い写真が撮りたかった!写真は私に話しかけてきたおばちゃんがお会計に立ったところ。
  • やってみるべきこと:アペルティーボ
    • 言葉の意味は食前酒ですが、要するにドリンク分のお金を払えば飲み屋の小皿料理が食べ放題というシステム。ミラノが発祥の文化ということで、イタリアでも徐々に他の地域に広がってきているみたい。5ユーロでお腹いっぱい。貧乏な芸術家達を支援するために生み出された仕組みらしいけど、安くて美味しいものが沢山食べられるなんてステキ!ミラノの夜を歩く際には、店の看板にアペルティーボと書かれているかを要チェック!
  • 特記事項:やっぱり万博。
    • 入場者数2150万人というオバケ企画。開催日数180日で割っても、一日あたり12万人。ということで凄まじい人混みでした。
    • 各パビリオンは趣向を凝らしたものが多く結構楽しめました。今回のテーマは「食」ということで、単純にその国の郷土料理を出すのもあったり、国がもつ文化に踏み込む内容もあったり、肥満・食糧廃棄・汚染・カーボンフットプリントなどの食にまつわる社会的イシューへの提言もあったりという感じです。
    • デザインの力によって問題を再定義し、人々の気づきを喚起して、取り組み方を変えさせて、効果をだすっていうのはとてもスマートだなと再認識。

      • パビリオンの中に森を作って、人も緑も居心地の良い空間を創出。「一番大切な食べ物はAIRでしょ」とのこと。オーストリアの作品。

ローマ

全ての道はローマに通ず(らしい)。世界各国からの観光客とそれを狙う連中で年がら年中ごった返す街。観光客でもちょっとご年配の方や家族連れが多い印象。交通機関のレベルはそこそこという感じ。個人的には一度行ったらもういいかな。このあたりでは食事はトリッパが有名。

  • 観光:個人的な好みを挙げるなら、コロッセオとサンピエトロ大聖堂。
  • 治安:悪いとは言えないが、良くはない。
    • 私たちは一度スリ未遂(バス車内でロマ系の少年少女5人組に囲まれるも脱出)に遭ったほか、謎のガソリン代詐欺(道を歩いていると、車から呼び止められ「ガソリンを入れたいけど自分の持っているクレジットカードが使えない。そういえば僕のたまたま持っているアルマーニのジャケットをあげるよ。もしよかったらガソリンを入れるためのお金をもらえないかな?」という感じで話が展開。かわいそうなオジサンなのか、詐欺師のオジサンなのか、かわいそうな詐欺師のオジサンなのかが判別できなかったので、とりあえずポケットの5ユーロをあげる。もちろんアルマーニは偽物。)に遭いました。
偽物のジャケットをもらって大喜びの私達

 

  • 行くべき店
    • Mordi & Vai:知る人ぞ知る名店。市場の一角に構える小さい店だけど、ここだけ人だかりができている。強面で口数の少ないお兄さんがムッとしながら仕上げるサンドイッチは絶品の一言。私達は牛肉煮込みのサンドを注文したけど、これより美味しいのはちょっと考えられないかも。ちゃんと整理券をとって注文をしましょう。
    • Da Enzo:真実の口からほど近いところにある家族で経営している小さな店ですが、常に満席。これぞイタリアのマンマの味って感じ。予約していないなら座れたらラッキーぐらいで考えた方がいいかもしれません。ここのリコッタチーズを食べたときにフレッシュチーズということの意味を私は知りました。もうそこらのリコッタは食べられません。

  • Giolitti:ジェラートの老舗。ローマはジェラートが有名ですが、ここが一番かな。コーンタワーは一見の価値あり。

    • やってみるべきこと:サルメリアに入ってみる
      • サルメリアはサラミ屋さんという意味ですが、生ハムやチーズ、オリーブ漬けやワインなどいわゆるイタリアの発酵食品なんでもござれという感じの場所でなかなか楽しいところです。ただ、だいたいの店は狭くて薄暗くて店員さんは英語を話さないので、ちょっとした度胸は必要ですけどね。

この店に勤めて43年のエミリオさん。とりあえずプロシュット・ディ・パルマを注文。

 

ナポリ

ナポリは治安の悪さが有名な街ではありますが、それでもピザという光輝くスターが人々を惹きつけてやみません。もしイタリアに行ったなら、ピザのためだけにナポリに行くのは全然アリな選択だと思います。やはり別モノですね。

  • 観光:強いて言うなら卵城かな。
  • 治安:言われるほど悪くはない。危険で有名なスペイン地区などに足を踏み入れないなどの最低限の注意さえ守ればそこまでビクつく必要はないという印象。ただしクラクションは常に鳴りっぱなし。
  • 行くべき店
    • Sorbillo:言わずと知れたナポリピザの名店。いつ来ても凄まじい人気。1時間は並ぶことを覚悟する。ここのピザは私の人生の栄えあるベストピザに輝いております。(ちなみにナポリでは店の前に受け付け係がいるので、その人を強引に(←重要)捕まえて名前と人数を告げると番号をもらえる。その番号札が呼ばれると中に入れるというシステム。イタリア語で100までをどのように言うかは分かっておいた方がいいかも。)

照明が非常に暗く、内装がださいので、全くフォトジェニックではないのです。ただ味は絶品。

 

  • Pizzeria da Michele:こちらも有名店。安定の人混み。ちょっぴり殺気立つ客達。

  • やってみるべきこと:ピザ屋めぐり。
    • とびきり美味しくて安いピザ屋がそこら中にあるので、ひょいと飛び込んでみるのもいいかもしれません。
  • 特記事項:世界屈指の公共交通機関ダメダメ都市だと思います。基本的に説明不足でサービス精神不足という感じ。普通の路線バスを待つのに1時間半ほどかけたこともあります。さらにバスのチケットがどこでも買えるわけではないという謎の仕組み。仕方なくチケットなしで乗ったら交通警察にしょっぴかれて50ユーロの罰金を食らいました。観光客を狙い撃ちしている警察に腹が立ったので、「他の乗客のチケットも確認するべきでしょ」と主張すると、他の乗客から「何を言ってんだ、さっさと降りろ!」というブーイングが巻き起こってしまいました。絶対みんな無賃乗車だよ、これ。

カターニア

やってきました、シチリア島。カターニアは東側に位置する主要な街です。イタリアでもう一度行きたい場所はどこかと聞かれたらカターニアと答えるぐらいに好印象です。コンパクトな街づくり、気さくな人々、美味しくて多様な食材などなど挙げだしたらきりがありません。

  • 観光:迫力満点の魚介市場 Piazza Alonzo di Benedetto
  • 治安:私の感覚ではイタリア随一のレベルで良いです。夜道を歩いていても全然大丈夫。
  • 行くべき店:
    • Antica Sicilia:魚介の使い方がやっぱりウマイ。魚介のもつ可能性の奥深さを感じさせる料理の数々。

  • FUD:カターニアとパレルモにある次世代ハンバーガーショップ。店内はとても洒落ていて勢いがある。シチリアの地元の食材に誇りを持っていて、それを広めていこうという野望に燃えている。肉も各種(ロバやバッファローやウマも!)選べるほか、ビールにもこだわっていて、どれも全部めちゃめちゃ美味しい。

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あまりのおいしさにビックリしている顔
  • やってみるべきこと:魚市場でお買い物
    • 是非この活気を自分の肌で感じてみるべきだと思いますね。もしできるなら実際に触ってみたり、店員としゃべって交渉したりして、実際に買ってみることをオススメします。とっても新鮮で美味しい素材がとっても安く手に入りますよ。

 

パレルモ

パレルモはシチリア島の北側にある港町です。私達は数日しか滞在できなくて、さらにその数日がほとんど雨だったので、正直あんまりうまく楽しむことができなかったのが心残りです。ほどよい田舎な感じが好きな人は好きかなという印象。

  • 観光:なんかあるかな?大きな市場とか?
  • 治安:裏道に行くとちょいワルな感じ。
  • 行くべき店
    • Bisso Bistrot:古い建物を最小限の改装でそのまま使っていて、内装がとても洒落ている。料理もどれも美味しくて、パレルモ名物の豆のペーストを揚げたものが印象深い。

  • Cioccolateria Lorenzo:裏通りにある知る人ぞ知る人気店。カフェなのに夜にめちゃ混む不思議な店。結構全体的に味が甘めなので、甘党の人はぜひ行って頂きたい。店主のロレンツォがご機嫌ならホットチョコレートがもらえるかも。

カリアリ

カリアリは地中海に浮かぶサルディニア島の一番大きな街。古くからイタリアだけでなく他の地域ともやり取りがあった影響もあり、独自の食文化が発展しています。とくに魚介類をふんだんに使う料理が有名で、いずれもまぁ美味しいのです。ちなみにペコリーノ・ロマーノの産地でもあります。車で走っていると島中にヒツジ・ヤギ・ウシをたくさん目にすることになります。サルディニア島ももう一度行きたい場所のひとつ。

  • 観光:コンパクトな坂の街とか城とか
  • 治安:良好
  • 行くべき店
    • INU:サルディニアワインをいかに美味しく飲むかがテーマのバー。出てくるおつまみも流石サルディニアという感じで美味しいし、ワインがやっぱりウマイ。店員もフレンドリーで良い印象。

  • La Tavernetta:これぞイタリアレストランというお店。地元の人にオススメを聞いた際に名前が出てきたので行ってみたらかなり美味しくて、ありがとーって思いました。今でも忘れられない一皿。日本で言うカラスミに相当するボッタルガを使ったパスタなんて、逸品の一言ですな。

  • Dulcis Pasticceria:カフェ的なところだとココがオススメ。軽食もあるし、紅茶がクスミティーを使っていて美味しい。内装もイマドキな感じで洒落ています。

  • やってみるべきこと:サルディニア島を車でまわる
    • サルディニア島はイタリア本土とは比較的離れているという土地柄もあって、言葉も食事も自然環境も他ではみられない独自なものになっています。もし一日ぐらい時間があればそこらへんでレンタカーを借りて島のあちこちに遊びに行くのも面白いと思います。

イタリア編のまとめ

こんな感じで、イタリアではいくつかの街をめぐる旅をしていました。

イタリアは一言でいうと、「伝統」と「多様性」の国でしたね。

「伝統」の部分でいうと、例えばコーヒーは深入りのエスプレッソが主流(というかほぼそれ。ウンカフェと言うとエスプレッソが出てくるので注意)で、日本やアメリカで見るようなハンドドリップ(プアオーバー)なんて見つけるのは相当難しいです。お店もきっと50年以上前からあるのだろうなという店構え&スタッフの様子ですし。(ちなみに車はいまだにほとんどがマニュアル車です。)チーズやハムといった伝統的な食品はDOP(Denominazione di Origine Protetta)という制度で厳しく管理・保護されています。DOPとは

原産地保護呼称。素材、生産、加工の工程すべてが指定地域で行われ、伝統的製法による特有の製品であることを保証。人工着色や添加物の使用などは一切禁止されているほか、製品ごとに細かく規定されている。(by 輸入代理店アサヒグラント株式会社HP)

というもので、要するに「プロシュット・ディ・パルマ」とか「ペコリーノ・ロマーノ」みたいなもののパクリモノを排除していく仕組みのことです。生産工程に非常に厳しい規定を設けたうえで、それをクリアしたものだけに認証を与えることで、原産地に根付く食文化や伝統を守ろうというものですね。

伝統を保護するというのは一側面からみるときっと素晴らしいことなのですが、他の側面から推測するとおそらく参入障壁が恐ろしく高いのだと思います。例えば街中の飲食店で20〜30代の若者がオーナーとしてやっているところは非常に限られるように見受けられます。また他のヨーロッパ諸国では普通に見られる移民がオーナーの店も(エスニック料理店以外は)ほとんどないように思いました。ちゃんとインタビューしたわけではないので推測ですが、家族経営が根っこにあって、オーナーが年老いたときに家族の誰かにその座を譲るという形で多くのビジネスが続いてきたのだと思います。だから「革新」という概念があまり育っていないということも言えるでしょう。

「多様性」という部分でいうと、ローマ帝国以来、イタリアはずっと都市国家乱立という形で歴史を紡いできた地域でして、ようやく「統一」されたのがほんの150年前のことです。統一以前は外圧に対抗するための一時的な同盟関係などを結ぶことはありましたが、基本的に「あの山までがウチ、山向こうはソト」みたいな世界がイタリア中に広がっていました。そういう環境では食文化もそれぞれの地域ごとに独自の発展を遂げることになります。今でこそ「イタリア料理」というと一つのジャンル(パスタ、トマトソース、ピザ、ラザニアなどなど)のようなものをイメージしますが、本来そのようなものは存在しないのです。強いて言うなら、「ローカルのものや旬のものを手数をあまりかけずにシンプルに味わう」というのが「イタリア料理」の本質と言えるかもしれません。パスタとかピザとかはその哲学のひとつの表現にしか過ぎないのです。

そういう背景もあって、イタリア人は自分の出身地域こそが自分のアイデンティティであり、イタリア全体のことまではそこまで意識しないという部分もあるように思います。そして他の地域をこき下ろすことが一つの大きな娯楽として機能しているのも面白いです。

色々と良いところもそうでないところも好き勝手に書いてきましたが、世界がMORE, FASTER, BIGGERな感じになっている昨今、イタリアみたいな国があることはきっと素晴らしいことだと思うのです。「100年前にこのやり方で美味いチーズが作れたんだから100年後もそのやり方でいいじゃん」という国。あ、そうそう。ちなみにその国がダモンテを生んだのでした。

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実は夫婦で世界旅行に行ってました

なんだかんだで毎日夫婦で昼は納屋の改装、夜はコーヒーを飲みながら本を読んだり映画を見たりブログを書いたりという日々をここ最近は過ごしています。考えてみれば、これってなかなか無いことなのかもしれません。我が家は一日中夫婦二人で行動していて、朝から晩まで経済活動をしていないのです(まぁ文字通りの意味では生産的と言えなくはないですが)。

でもここだと二人で作業をしていても、近所の友人達が遊びに来てくれたり手伝いに来てくれたりします。なのでお金は動かないですけど、薪とか道具とか工事のアイデアとかはひょいひょい動いていくのがなかなか面白いです。本当はもう少し日本の経済に貢献したい気持ちはあるのですが、いかんせんその前に自分達が活躍する土俵を整える必要があるわけです。何はともあれ、二人仲良く一つのプロジェクトの完成に邁進するってなかなかいいものですよ。

経済活動といえば余談ですが、この男木島にいてお金を使うことはほとんどないので、財布は引き出しの中にしまいっぱなしです。ちなみに男木島では財布はおろか鍵も持ち歩かないので、外出時はズボンのポケットにiPhoneを入れたらそれで準備完了です。うーん、お気軽。

世界旅行のことについて書きたいと思います

毎日納屋のことをブログに書くのも飽きてくるので、ここ何回かはちょっと気分を替えて私達のこと、とくに10ヶ月間の世界旅行のことを書こうかと思います。そうです、私たち世界を旅してまわっていたのです。格好つけて言うと、「暮らすように旅していた」ということになりますかね。自分たちの興味あるところをピックアップして、その候補をさらに絞り込んだので、期間のわりに行っている場所は少ないですが、本人達としては大満足の内容でした。旅行と言っても、ただ遊んでいたわけでは全然なくて、遊びと視察と修行の割合が同じぐらいだったので疲れましたけど、非常に充実した日々でした。

いくつかモレがありますが、世界旅行中の航空機利用はだいたいこんな感じです。いやぁ130時間以上も乗っていたんですね。

世界旅行の旅程

まずは旅程を確認しておきましょう。

2015年10月〜11月 イタリア6都市

12月 スペイン2都市

2016年1月前半 モロッコ1都市

1月後半 ポルトガル1都市

2月前半 日本で一休み

2月後半 コロンビア2都市

3月前半 メキシコ1都市

3月後半〜4月前半 瀬戸内地方あちこち

4月後半〜6月 アメリカ4都市

7月 ノルウェー、イタリア、ドイツ、デンマーク各1都市

8月 アメリカ1都市

という感じであちこち飛び回って、2016年8月に日本へと帰ってきました。

 

長いので次回予告

やばいですね。これは長くなりそうな気がしてきました。

とりあえず、ここから先は次回以降にまわすことにします。

次回は私達が何を見て、何を食べて、何を考えていたのか。

次々回はよく聞かれる質問のひとつ、「ぶっちゃけいくら掛かったのか」を赤裸々に公開してみたいと思います!いやぁ、水一本に至るまで家計簿をつけていて良かった!

その次は、私達が実践した旅行tipsみたいなものを書こうかどうかという感じです。

ではでは、乞うご期待。

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古民家の土壁を解体するたった一つの冴えたやり方

さて、今日は愛する妻の誕生日であります。おめでとう、妻。

ということで、誕生日にやることと言えば、あれですね。土壁の解体。

今回は、勇敢にも古民家改装とかにチャレンジしちゃってる日本のどこかにいる(もしくは歩いて数分の所にいる)同好の士のために、私が編み出した効率的な方法というものを赤裸々に伝授したいと思います。

今回のターゲットはこちら。すでに一部土が落ちてるけど、細かいことは気にしない。サイズは縦240cm、横90cm。
これがキミの必要なもの全てだ!マサカリ(?)、小さい土掘り具、チリ取り、袋。袋以外は全て納屋に落ちていたものを使っています。それにしても「雑袋」というネーミングはなんとかならないのかしら。西村ジョイ様、いつもお世話になっております。
貫を探すために柱沿いを削る!どこだぁー!
両柱そばの貫を露出させる。今回は二枚。私ぐらいになると、こんなに最小限の手間で貫を見つけることができるのです。
アップにするとこんな感じ。この貫がガッチリ柱にハマっているので、これを壊す必要があります。逆に言うと、土壁の中で構造材とくっついているのはこの貫だけなのです。貫はわら紐で小舞という竹と結ばれていて、その小舞を土で両側からパックしているのです。
さらに攻撃対象をアップで。ただの平たい板なので恐るるに足らず。
マサカリで叩きまくる!丸ノコとかでも良いと思いますが、叩き割る方が「こんにゃろー!」感が出るのでオススメ。
貫を破壊したあとは、引き倒すだけ!手でもいいですし、引っ掛けられる道具があってもいいです。体重をうまく使えば力はそんなに要らないと思います。
全部倒したらこんな感じ。さて、ここからが実は一番大変なのです。小舞と呼ばれる縦横に走る竹と土を分けながら捨てる必要があります。
木と土に分別。木は燃やす。土は欲しいという奇特な人が幸いにして徒歩30秒というところに住んでいる場合はその人にあげる。
土壁除去後。本当はこの後横に走る銅縁と奥の薄いベニヤを除去して完成ですが、この奥は押し入れで、その中にはまだ布団が入っているため、今日の所はこれぐらいで勘弁しといてやる。
壁一枚の内容物。上の2枚が貫。細い竹が大量。土は土嚢袋7分目から8分目のものは7袋なので、120kg以上はあると思います。たった一枚の壁でこの量のゴミというのはゲンナリするのに充分なパンチ力を持っているわけで。この納屋にはまだ同様の土壁が10枚以上あるわけで。

要するにガムシャラに土壁を攻撃するのではなく、貫がどこに走っているかを理解して、その急所を徹底して攻めるというやり方です。土壁を倒すまでは3分かからないと思います。ただ、そこからゴミを適切に処理するのに非常に手間取るのがゲンナリポイントです。この処理だけで20分以上はかかるような気がします。とほほ。もちろんタイトルは誇大広告です。

あと、ちなみにこのような方法で壁を作るのは大昔からあんまり変わっていないのです。驚くべきことですね。世界史的にみると少なくとも8000年ほど前にはすでにwattle and daubという壁の作り方がヨーロッパや西アジアの広い範囲で知られていました。小枝と蔓(日本家屋の場合は格子状に組んだ竹ですが)と粘土というどこでも取れる材料を使って、比較的容易な組み方で壁を立ち上げるというのは、ある種のユニバーサルデザインなのでしょう。誰でも材料へのアクセスができて、環境が違ってもアレンジが容易で、メンテナンスや作り直すのも簡単となれば、そりゃ時空を越えて広まるよという感じですね。

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何年ものか分からない梅干しを食べてみる

納屋の片付けに取り組む毎日からいまだに脱することができていません。まぁそこまで焦っているわけではないので、夫婦二人でひたすら土嚢袋にゴミを詰めたり、古くて使えない建具などを解体して薪にしたり、古いけど使えそうな建具などをキレイに整理したりという感じで進めています。とりあえず音楽がないと楽しさも半減なので、今日はスピーカーを外に持ち出してビートルズを大音量で流しながら作業をしていました。

梅干しを発見!

さて、そんな中での今日の掘り出し物がこちら。

梅干しが入っていたかめ

そうです。梅干しです。

いや、もちろんこんな感じのかめには梅干しが入っていることが多いというのは知っています。しかしこのかめは蓋が開いていて、中を覗いてみても真っ白の正体不明の物体(写真を撮っていなかったのが悔やまれる!)しか見えなくて処理に困っていたのです。さらに大掃除で出た大量の土埃がかめに入り込む始末。

捨てるにしてももう少し小さく軽くしないと捨てにくいということで、ハンマーで叩き割りました。

あれまぁ、梅干しがいっぱい!

なんということでしょう。中には推定100個ほどの梅干しが入っているではないですか!完全に漬かりきっています。所々に見える塩の大きな結晶に注目。

断捨離が趣味の妻がこれらを捨てるためのゴミ袋を用意するまでのその刹那、細かいことは気にしない夫がその梅干しを口へ。

その場でとりあえず食べてみる。

何年ものなのかは全く分かりませんが、家の使われ方から考えるに少なくとも10年ぐらいは経っていると思われます。

肝心の味は、美味しくないことはないけど、塩味が相当に効いている感じです。色は明るい赤色とかでは全然なく、むしろワイン色と言えるぐらい深みがあります。果肉のジューシー感はしっかり残っていました(ちなみに塩の大きな塊も舐めてみましたけど、梅の風味が若干ついただけのただの塩でした)。塩分がちゃんと効いているので、蓋が開いていて常温に置いておいても雑菌が繁殖せずに長期間の保存が可能なのですね。先人の知恵、恐るべし。

アップはこんな感じ。うーん、見ているだけで唾液の分泌が。
お皿に盛りつけて…
美味しくいただきました!
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納屋だけでなく、パンだって毎日作っていますとも

昨日つなぎを着て島を歩いていたら、お婆ちゃんに「おぉ、もう仕事始めかぁ」と言われました。私の仕事は一体なんだと思われているのかとちょっと不安になります。ここ最近の主要な関心事が実店舗オープンに向けた納屋の改装とはいえ、もちろん日々の物づくり(とくにパン焼き)をサボっているわけではありません。ここのところ島内だけでなく、島外からも注文をチラホラ(ほんとにチラホラ、いやほんとに)と頂いており、何だかんだで毎日あれこれ焼いております。ありがたいことです。

今日焼いたカンパーニュ。

酵母に身をゆだねる

私のパンの作り方の基本は、いわゆる高加水・長時間発酵というやり方です。さらにそれを小さなオーブンで悪戦苦闘しながら焼くものですから、なにせ1つのパンを完成させるのに長い時間がかかります。どれぐらいかと言えば、今日のカンパーニュ10個という注文を、発送する2日前の午前から作り始めたぐらいです。パン作りは基本的には酵母に任せっきりで、私は彼らの機嫌を損ねないように環境を整えることに徹するだけです。「労働」という面からみると私は大したことはしていないのですが、酵母は急かすことも待たせることもできないので、私の生活リズムは酵母の状態に合わせたものとなりつつあります。まぁそれもなかなか楽しいものです。とくにオーブンを開けるときのワクワク・ドキドキは何個焼いても変わることがありません(開けた後の叫び声が「よっしゃー!」の時もあれば、「なんでやねん!」の時もままあるのですが)。

朝日に照らされる大晦日のレーズンパン。

ほんとは作り方をシェアしてみたい

じつは一丁前に私のパンの焼き方動画みたいなものも作ったのですが(真上から撮ってタイムラプスを使うやつ。あれ憧れるんですよね)、段取りの悪さと背景の汚さが気になって完全にお蔵入りしています。新しいキッチンが完成した暁には、バシッとしたやつを撮りたいものです。私よりパン作りのうまいパン屋さんはごまんと居ますが、何かをつくるということに唯一無二の正解なんてものはないはずなので、作り手の数だけやり方があって良いと思っています。だって、パンを作るというある意味で単純なことの背景にも、作る環境、その人の好みや気分、使う素材、その他ほぼ無限の変数が横たわっており、従わなければならないルールなんてものはないのですから。強いて言えば、自分が美味しいと胸を張って言えれば、それがひとつの正解の姿です。っとまぁこんなことを考えているわけですから、世界の色んな作り手が自分なりの方法をシェアするというのも楽しいと思うのです。きっと各々が新たな発見に巡り会えるはず。

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移住者は納屋の包容力に圧倒される

年始早々、ゴミ出しの日々がスタートしております。本当は年末年始はコタツに入って本でも読んで夫婦でゴロゴロしようかとニヤニヤしながら計画していたのですが、「そんなヒマがあったら納屋のゴミ出しをせねば」という焦燥感にかられ、正月から働いております。

 

納屋という名のブラックホール

私達はこの家に夏から住んでいるのですが、納屋の中身は最初引っ越してきたときにチラッと見た程度で、これまでほとんど利用してきませんでした。チラッと見た範囲では、とてもよく整理されていて元々の家主さんの人柄が出ている印象を受けていました。発泡スチロールや薪木といった軽くてかさばるものはそれぞれ小分けにして紐で縛ってあったり、食器類は箱に入れてそれを棚に収めてさらにその上から新聞紙で包んでホコリをかぶらないようにしてあったり。

 

なので、いざ納屋を使おうと思ったときにも、中のものを出して整理するなんて造作もないことだと考えていました。いやぁ、当時の私に言いたいですね、「古民家なめてんじゃねぇ」と。(ちなみに2016年に男木島に引っ越してきた30代前半の同世代3世帯はほぼ毎日顔を合わせる仲良しさんなのですが、3世帯とも同じように自宅敷地内の納屋をどのようにマネージメントしていくかという問題に日々取り組んでいるということも一致します。話題の3割強は納屋の話といって過言ではないでしょう。)

うまく整理されているということは、つまり隙間を最小化しながら、最大限のものがそこに収められているということを意味するのです。納屋のゴミ出しに着手してもう10日ぐらい経つように思いますが、まだまだ目処が立つところまで来ていないのが現状です。古民家の歴史の重厚さ、納屋の文字通り闇の深さを日々痛感しております。今日見つけた箱入りの漆塗りのお膳なんて昭和11年製でしたよ。80年!!

左から、謎の巨大鉄鍋、ロッキンチェア、箱入りお膳30人前 手に持っているのは襖の枠を分解したもの

 

今風に言えば「オフグリッド」冷蔵庫
下にあるのは「カラーテレビ」(そう書いてある)

島のゴミ捨て事情

これが島でなかったら話はまだ簡単なんです。友達かレンタカー屋さんから大きなトラックを借りて、粗大ゴミなどが持ち込めるような大規模なゴミ捨て場に全部捨てて、それでも足りなければそれを往復すれば良いだけです。いたってシンプル。

だがしかし、ここは島なのです。さらに、この男木島は道が細く入り組んでいるため、島の多くの部分で車を使うことができません。大型車をレンタルしても港までゴミを運び出す手間+フェリーの料金(おそらく1往復で1〜2万円)が発生し、フェリーの時間の兼ね合いもあり頑張っても1日2往復しかできません。となると基本的にゴミ出しは人力で行うことになります。さらに可燃ゴミ以外は月一回の回収なので、その日を待つ必要があります。ちなみに私は年末の回収日に、家と収集場所を一輪車イッパイのゴミを抱えて11往復するハメになりました。その日は島民にとっての一大イベントの日で、数日前からゴミ出しのことが島民の話題に頻繁にのぼるようになります。坂の上の方に住んでいるお婆ちゃんもオンバを使って収集場所までゴミを運んでいます。裏を返せば、その日はほとんどの島民が収集場所まで出てくるため、色んな人とコミュニケーションをとれるチャンスと捉えることもできます。

ただこの月一回の回収はあくまで行政のサービスなので、あまりに大量のゴミを個人が一度に出すことはできませんし、大型のゴミもそのままでは出せないものがあります。

そこで頼りになるのが古道具屋さんと便利屋さんなのです。彼らは今月中に私達を助けてくれるはずなので、その活躍については後日触れることにしましょう。

謎のロングしゃもじを持って
視線はすでにオシャレ店舗の完成を夢見ている
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2017年のプロジェクトあれこれ

最初にお知らせを3点。

  • 2017年1月から3月末まで(?)ダモンテ商会は実店舗の工事を最優先事項にしており、営業はしておりません。ご期待にそえず申し訳ありません。
  • パンや焼き菓子をご所望の方は予約をお願いします。前日の午前までに問い合わせフォームかinstagramかFacebookにて予約していただけると、最高の状態でお渡しできると思います。
  • DIY好きのお手伝いを随時募集しています。報酬はかけがえのない名誉とあふれ出す達成感のほかには、寝床と風呂と御飯です。時間と体力があって、島暮らしがしてみたいという方はご連絡を。

 

年始にあれこれ考える

年が明けてしまいました。2017年ですね。年明けというのは、これまでのことや、これからのことを整理したり、考えたりするのに適している時期だと思います。ゆっくりと時間をかけて、コタツに入って、みかんを食べながら、ノートを取ったりして、思考を深めていくという過ごし方を毎年心がけています。

 

ここ数年では、2015年は仕事を辞めて、世界旅行に出かけるというのが最も大きなプロジェクトでした。2016年は上半期は世界旅行、下半期は男木島に引っ越すというのがメインでした。今のところ、細かいところを除くとやはり数年前に頭の片隅にあったことがどんどん実現していっているような感触があります。それは決して受動的なものではなく、どちらかというと能動的に実現していくというニュアンスが近いのですが。だからこそ眼前のタスクに舵取りに忙殺されることなく、顔を上げて波間に時折見える灯台を目指す必要があると思うのです。

 

2017年に控えているプロジェクト

さて、ということで2017年です。抱負みたいなものはあまり考えていないのですが、プロジェクトは色々と考えているので、それをここで書いておきたいと思います。

  • ダモンテ商会の実店舗をオープン
  • EC事業の立ち上げ
  • ヤギ飼育の開始
  • コーヒー豆のローストに着手
  • 島のおばあちゃんを巻き込んだワークショップの開催

他にも色々あるのですが、まぁこれだけできれば2017年としては合格点を自分にあげたいと考えています。

 

それぞれのプロジェクトはこのブログでもいずれ触れることになると思うのですが、今回はその中でも最も重要な「実店舗のオープン」について。

 

自分の店、自分で作ります

ビフォーの様子。北西から。
ビフォーの様子。東から。

これまで私達「ダモンテ商会」は男木島図書館の御厚意に甘える形で庭先のスペース「老人と海」を借りて営業をしていました。そのスタイルも私達にとっては居心地の良いものだったのですが、さらなる発展と可能性を信じて自分たちの手で新たに実店舗を構えることにしました(屋台スタイルでは吹きすさぶ冬の風に対処しきれないという事情もあったりなかったり)。居心地の良い環境を自ら手放すのはもったいないとも思うのですが、自分達のやりたいことを追求するためには仕方のないステップなのだと考えています。

 

ダモンテ商会の新しい店舗は私達の自宅の「離れ」兼「納屋」を改装する形でつくるつもりでいます。正直言うとその道のプロに入って欲しいところですが、そんな予算もないので、例によって自分達の手で全面リフォームを行おうと思っています。自分達の手で何かをつくることは、様々なレイヤーで新たな「つながり」が生まれることだと信じています。物理的にも、社会的にも、経済的にも、文化的にも。なので、今回のこのプロジェクトもクオリティは追求しつつ、楽しさを常に脇に携えて取り組んでいきたいと思っています。はてさて、どうなることやら。

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自由の象徴としての発酵食品

突然ですが、発酵食品が好きです。昔はそれほど好きでもなかったのですが、年を取るとともに味覚や嗜好が変化してきたのか、最近は発酵に夢中になっています。

 

発酵とは何かなんてことは難しいのでうまく説明できませんが、要するに「微生物の作用を利用して食品の状態を人間の都合の良いように変化させること」を「発酵」と表現するので間違ってはいないと思います。我が家では現在、いろいろな発酵プロジェクトが同時進行中です。毎日のパン作りはもちろんのこと、ワインビネガーやコンブチャ(これに関してはまた別のポスト)といった液体系、ザワークラウトのような野菜系など様々な発酵食品が我が家の隅っこで瓶に収められています。ちょっとした発酵所状態です。

 

一昔前はぬか漬けや味噌造り(手前味噌の語源ですね)など多くの家庭で様々な発酵食品が製造・利用されていたのだと思います。今はこういった発酵の営みは家庭から消え失せつつあり、もっぱらお店で買い求めるのが一般的になってしまっています。いや、別にいいんですけどね。「安全な材料」で「おいしいもの」が「豊富な品揃え」ですもの。そこまで高価格でもないですし。

 

ただひとつ思うのは、それでは面白みに欠けるということなのです。

 

添加物の安全性うんぬんをここで論じるつもりはないのですが、単純に基本的に食品は「買うより作る方が良いよ」ということをお伝えしたいわけです。どんな食品でも、野菜でもお菓子でも、作る方がより安くて、より美味しくて、より自分好みで、より面白いです。絶対。

 

それらの食品のなかでも特に際立って手作りの良さが出るのが発酵食品だと私は思います。なぜか。イチバンの理由は人間は働かなくてよくて、微生物に代わりに働いてもらうからです。人間のやることは微生物の働きやすい環境を整えるだけ。それだけ簡単な作業をするだけなのに、保存がきくようになり、風味が増し、美味しくなります。まぁ不思議。

 

今日はお店でザワークラウトを提供しましたが、これなんて原材料はほぼキャベツと塩だけです。それにほんのちょっと香り付けとしてジュニパーベリーとキャラウェイシードを加えるだけ。ややこしい添加物なんて入れなくても、こんな単純な構成のものを瓶に詰めておくだけで1年ぐらいもつ惣菜になるのです(このレシピはまた今度)。しかも美味しい。

 

誰がどんな環境で作ったか分からないようなものを食べて、楽しい気持ちになりますか。長ったらしいカタカナで実態が何かよく分からない原材料を使う食品を買って、ワクワクしますか。そんなものよりも、みんながかつて共有していた古い知恵を活かす方がステキだとは思いませんか。

 

大企業があらゆるものを作って提供している現代において、作る自由と喜びを自分達のもとに取り戻すための最も簡単な方法のひとつが発酵食品づくりなのではないかと思うわけです。自分でものを作ることによって(そして失敗することによって)、きっと世界の成り立ちへの理解がより一層深まることになります。それを私は「面白い」と表現したいのです。

これは知られざる名著だと思う。発酵食品についての詳細は少ないけど、DIY精神の大切さをユーモア満載で教えてくれる。
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島に移住した理由(下)

男木島にたどり着いたところまでが前回の内容。

今回はなぜ男木島に決めたのかという核心部分を書こうと思います。

 

なぜ男木島に移住したのか。

「特徴的な町並み」「雄大な自然」「離島のわりに意外と街に近い」「格安の生活費」などの要素は確かに重要ではあります。しかし、これらの要素を満たす場所は日本国内だけでもごまんとあるでしょう。ですので、これらの要素の積み重ねだけでは決め手にはなり得ません。

高松市は移住者誘致/定住促進にそこまで熱心な自治体ではない(としか思えない)ため、他の地方でみられるような「あそこに引っ越せば得する」というようなものが決め手になったわけでもありません。個人的な所感を言わせてもらうと、自分の住むところは「損得」といった経済的側面から語られるべきものではないように思いますし、「得」を求めて引っ越してきた消費者マインドたっぷりの人々がその地でステキな関係を醸成できるようにはとても思えません。

これらの外的要素でないとすれば、何が私達夫婦を男木島へと導いたのか。

身も蓋もない言い方をすれば、それは「偶然」であると私は考えています。

 

偶然がたくさん起こる島

この島では不思議なことに「偶然」がたくさん起こります。

初めて訪れたときには、道を歩いていたら私設図書館があったり、その日は閉館日なのに中に招いてもらったり、その図書館が移住者相談窓口を設けていたり、「引っ越してくれば?」と気軽に言われたりしました。

2回目3回目に訪れたときには、島の他の移住者たちがたくさん集まる夜があったり、新しくできた小学校の入学式に参列したり、フランス人の耕す畑をみんなで見に行ったりしました。

引っ越してきてからは、島内で特Aクラスというキレイな家を格安で貸してもらったり、道を歩いているだけで野菜を山ほどもらったり、家から徒歩10秒の大きな畑を二つ返事で貸してもらったりしています。

他にも枚挙にいとまがありませんが、全て「偶然」です。

 

「偶然」を生み出す背景

私の見方では、この偶然を高確率で生み出しているメカニズムは「コンパクトな空間」と「オープンな精神」によって支えられていると考えています。島全体がコンパクトで集落はさらにコンパクトなので、人口は200人にも満たないはずなのに道を歩けばだいたい誰かに出くわします。全員が顔見知りというのもあって、皆さんとても面倒見が良く、助け合い精神が大樹のごとく根付いています。引っ越してきたその日に段ボール箱を持って階段を上がっていると、腰の曲がったお婆ちゃん3人ぐらいから「手伝ってやる」と言われ、箱を奪い取られてしまいました。私はお婆ちゃんの元気さと世話好きのすさまじさに驚かされると同時に、この島に引っ越してきて良かったなと改めて思いました。

大工道具や農機具の貸し借りも頻繁で、私の家や庭にはご近所に借りたものや誰のものかよく分からないものがたくさん転がっています。家のことでも畑のことでも、いつでも何でも相談できる人達がまわりにあふれているのは本当に心強いものです。先日、家の水道管が故障して水道が使えなくなった時も、まず電話したのは水道屋さんではなくて、仲良しの島の漁師さんでした。電話をしてから30分後には水道が復旧したことを思うと、島を「不便」な場所と単純に捉える考えは改める必要がありそうです。

田舎によく見られるような詮索や監視みたいなネガティブなこともここでは全く見られません。むしろ、お互い名前も知らない私とおばあちゃんが道ですれ違いざまに冗談を言い合ったりするのも日常茶飯事だし、「家にたくさん家具や道具が余っているからもらいに来てくれ」と頼まれることも珍しくありません。その人がもつ背景などにはあまり執着せず、助けを求められればすぐに応じるようなオープンさがここには共有されていると思います。

 

このようにこの島では「コンパクトな空間」と「オープンな精神」が両輪のようにうまく機能することで、心地の良い「偶然」を生み出しているのだと思います。移住者同士もこの偶然の輪のなかにすっぽりと入っていて、みんなが日常を楽しんで過ごしているように私には見えます。この移住者同士のネットワークも私達にとって非常に重要なもので(そのうち人の焦点をあてたポストを書くと思います)、彼らがいなければおそらく私達はここには来ていないと断言できます。

 

こういったもの全てが私達夫婦がこの島に移住した理由と言えます。

つまり単純じゃないのです。

私もうまく説明できないのですが、とにかくいきなり質問されて、即答できるような類のものでないことさえ分かってもらえれば満足です。