めぐり、めぐるいろんなもの。その「もの」にはそれぞれの背景があるわけで、人の思いがあるわけで、時間の積み重ねがあるわけで。
島に引っ越してきてからたくさんのモノを頂く生活を送っております。一応お礼としてお返しをしているつもりですが、とても返しきれません!なぜ返しきれないのかの例として、この二日間に貰ったものリストをここに挙げておきましょう。大きいもの順です。
- イノシシ×2
- 名も知らぬ魚×4
- ナマコ×2
- サザエ×5
- ベイカ×40
- 銀杏×10
- ティンカーベルのたまごパン
- グリコのバトンドール(高級ポッキー)
いやぁ、すごいですね。単純に量が多い。全て無料でしたけど、これらを仮に買ったら5万円では済まない気がします。私も田舎育ちなので、近所づきあいで野菜のやり取りとかには慣れているのですが、この島のホスピタリティと食品のクオリティの高さには驚かされます。っていうか冷凍やら発酵やらの技術を使っても我が家だけではとても食べきれる気がしません。ちなみにこの二日間、我が家の晩ご飯はイノシシでしたけど、消費できたのはいまだに前脚2本とアバラ半頭分だけです。
この島にいると、近所にバラエティ豊かな人々が住んでいるので、流通する食べ物もバラエティ豊かなものになります。野菜を育てるのが得意な人、魚介類を獲るのが仕事の人、料理をするのが上手な人、都会のお菓子をストックしている人、食べっぷり飲みっぷりが良い人、イノシシの解体が上手になりつつある人などなど。人々の嗜好や能力に不均衡があるからこそ色んなものがうまくまわっていくのだと思います。みんな同じようなバックボーンを持っていたら流通が滞ってしまいますもんね。
私も私なりの貢献をしたいとは思っているのですが、きっと「何かで貢献したい!」とか考えるよりも、自らの持つ嗜好や能力に磨きをかける方向に舵をとることで結果として何かしらの貢献をして周りの人にホホゥと思ってもらえると信じております。
お金で精算できるものやそうすべきものも世の中にはたくさんあるように思いますが、物のやり取りの方がうまくいくことも多々あるのです。貰ったモノを覚えておいて、今度自分が何かを生み出したときにその時のお返しをする。ポイントはこのやり取りにかかる時間なのでしょう。この貰ってから返すまでの間、ずっと相手に対する「負債感(健全ver.)」を抱くことになります。その間にその相手に会えば「この間はどうも」という話になったり、「あれってどうやるんですか」みたいな展開になったりします。関係を清算せずに常に一方がちょっとした借りを感じているというのが実は良いんですね。そういった関係の微妙なバランスが、次の関係を結ぶ動機づけになったりするわけで、そうやって積み重なった関係は強い結びつきになっていくわけです。(みたいなことを昔のグレイトな人類学者が言っていました。モースとかマリノフスキーとか)