そとにひらく暮らし
2026年6月8日
私たち家族の住む男木島では、100人強の島民が島の南西部分の小さなひとつの集落に寄り添うように暮らしており、畑や果樹園を考慮に入れても島全体の面積からみると8割ほどが利用されずに放置されています。
理想的な里山のかたちとは言い難いようなこの男木島の状況ですが、完全な自然状態とも言えない放置された土地はいわば人間の領域の境界線がぼやけるバッファゾーンであり、そこにあるものはみんなのものであると同時に誰のものでもないという入会地みたいな感じです。そこに目をつけたのが強欲な私たち。誰も行かない場所には実はお宝がたくさんあるのです。
例えば側溝にたまった腐葉土を週一回集めて、それを他の材料と合わせて発酵させることで鶏の餌を作っています。また秋から冬には落ち葉がたくさんあるので、それも運搬車を使って集められる限り集めています。落ち葉は腐葉土を自分で作ったりするのに使えますし、畑仕事にもあちこちで活躍してくれます。さらに言えばイノシシです。イノシシは畑を荒らす嫌われ者ですが、考え方を変えれば新鮮な美味しいお肉が何もコストをかけることなく勝手に育ってくれているわけです。経済面だけでなく環境保護の観点から言っても、この貴重な「資源」を利用しない手はありません。
こうやって私たちは「家」だけに閉じた形ではなく、「地域」に開いた形で自分たちの暮らしを構築することで様々なメリットを享受しています。自分の領域だと思っている場所から一歩そとに目を向けて、考え方を少し転換するだけで、意外な豊かさが無数に広がっていることに気付かされます。ここで大切なのは私たちが自分たちの「得」を追求する行為の結果として、島の側溝がキレイになり、道から落ち葉がなくなり、イノシシ被害も減るということです。島民には悪いですが、島のことを考えてやっているわけでは全然ありません。「結果として」というのが良い形を継続させる秘訣だと思うのです。